2008年11月28日

ブラインドネス

0099532166Blindness
Jose Saramago
Vintage 2008-11-13

by G-Tools

予想していた以上に良かったですね。
エンターテイメント大作ではないし、映画賞に出典されるようなアート志向の強い作品にしては、
観ていて全く退屈しなかったし、引き込まれて行くような表現が随所にあったので、見過ごす事の出来ない作品だったと思います。

やっぱりこの作品は「自分もブラインドネスになったら、どうしよう・・・」という不安に掻き立てられるかどうか。
そして、その「盲目」という立場に近づいて作品に触れられると、見方が変わってくるんじゃないかと思います。

そういう意味で、「最初に盲目になる男」の役が伊勢谷友介だったのは、個人的には感情移入しやすかったですね。
このキャスティングが外国人だったら、作品の印象は間違いなく違ったものになっていたと思います。
その男の妻を演じる木村佳乃との初詣のエピソードは、作品中、数少ない「闇の中の光」を描写したシーンなのですが、
日本語でのセリフが印象的で、日本人なら尚更、感動を覚えるシーンになっていたと思います。

後、効果音の使い方が凄く良かったです。
耳鳴りのような音や、物音。
そして、白を多用する映像が合い重なって、
「自分もこの病に感染するんじゃないか・・・」と思ってしまうような、巧みな演出はとても臨場感がありました。
この部分だけでも、劇場に足を運ぶ価値があったなぁと。



予告編は上手く作品のテーマをベールに包みつつ、興味を引くような作りになってますね。
ただ、日本版より、海外版のトレーラーの方が良かったように思います。
何か日本版はパニック・ムービーみたいな印象が残ってしまうんですけど、本編はそういう映画じゃないですし。

キャストで言うと、やっぱりジュリアン・ムーアですね。
ストーリーの大部分を占める、盲人の収容所から、観る者の視点は彼女とリンクするようになって行きます。
つまり、唯一の「見える立場」であるが故に、盲人たちのリーダーとしての重責を背負う、
その彼女の眼を通して、ストーリーが綴られて行くわけです。
日増しに増大して行く患者たち。
そこから生まれた「盲人」の社会、戒律。
そして、対立。
その中で「見える事」による苦しみが描かれているのが、とても興味深かったですし、
そんな主人公を体現していた、ジュリアン・ムーアの演技はとても良かったと思いました。

途中、救いようのないような気分になってしまいましたが、ラストシーンは色んな解釈で捕えられそうなものの、個人的には良い印象が残るものでした。
後、わざわざ説明しない所も良かったですね。
病の根源とか、治療法とか、政府の大袈裟な対応とか。
そういう部分をフォーカスしたら、「アウトブレイク」みたいになってしまいますしね・・・。

「結局、何だったの?」という問いについて、それをわざわざ説明するのは、この作品のテーマを語るには不要だと思いますし。
キャストの名前や、性格描写、背景を殆ど明かさなかったのも、同様。
それでも、自分には監督の伝えたかったことがよくわかりました。
Blindness.jpg
↑パンフレットも買ってしまいました。
900円もしたけど、92ページというボリュームがやっぱり魅力でしたね。
自分が作品から受け取った主題と、監督の取り上げたかった主題にあまりズレが無かったので、
上手くメイレレス監督に「観せられてしまった」という感じですね。
posted by Singer at 03:08| Comment(0) | TrackBack(3) | ●movie review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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